翌射九日 (后翌射日)

 昔昔帝俊という人に義和という妻がいた。彼女は太陽神であった。十人の子を産み東方のある島の巨大な扶桑の樹の上に住んでいた。

 

義和は十人の太陽の子供たちに言った。“お前たちは毎日交代で空に上がり人類の幸せのために陽光と熱を与えてあげなさい。”息子たちは言いつけどおり毎日一人ずつ東に昇り大地を照りつけ夕方には帰ってきた。翌日には次の太陽があがり順に交替していった。だから人々は天に太陽は一つしかないと思っていた。

 

しかし後に彼らは母親の言いつけに背き、こっそり相談して十個の太陽が同時に空に昇った。大地は照り付けられ、ものすごい炎天下作物は枯れ、樹木さえも焦げてしまった。人間は暑さで卒倒し、河や池の水は干上がり、全てめちゃくちゃになってしまった。ある所では暑さのため樹木が燃え始め、人びとも死んでしまった。

 

父母の帝俊と義和はこれを見て息子たちに無茶なことをせずやはり一人ずつ交替で昇るように言ったが誰も聞こうとしなかった。どうしようもなく、翌という神に命じ彼らを制圧するよう派遣した。翼はとても弓に長けた神で力もとても強かった。翌は帝俊の命を受け弓矢を携え天上に上ると十の太陽の騒ぎを取り鎮めようとした。出発前義和は彼に言った。“お前は息子たちを本当に傷つけたりしないでおくれ。ちょっと脅して規則を守らせるようにしてくれたらいいから。”なんといっても彼女にとって十人の太陽は自分がおなかを痛めた子らであったから。

 

翌もはじめはわざと声を張り上げ彼らをビックリさせ二度と騒ぎを起こさなければいいと考えた。そこで彼は彼らの下の方で弓を張り矢を射る格好をして警告した。“もしお前たちがそこを立ち去らずなおも騒がすつもりなら容赦はしないぞ”しかし太陽たちは彼の言うことを気にも留めず、反って一斉にさらに光を放った。台地は焼かれもの凄く熱くなり石までもが溶け始めた。

 

これを見た翌は腹を決め人間の災いを除くため、力いっぱい弓を引き絞ると矢を放った。“ヒュー”という音とともに矢はまっすぐに一つの太陽を射落とした。その射抜かれた太陽は火の玉のように空中で爆発し真っ赤な羽のようなかけらが地に降り注いだ。人々は駆け寄り落下してきた真っ赤なものを見た。なんとそれは一羽の大きな黄金色の三本足の鳥だった。それは太陽の化身だった。

 

再び見上げると天にはまだ九個の太陽があった。残りの九羽の鳥の化身の太陽たちは翌が彼らの兄弟を射落としたのを見ると一斉に彼に襲い掛かった。翌は歯を食いしばるとヒュー,ヒュー,ヒュー“と矢継ぎ早に八本の矢を射た。太陽たちは次々と地上に落下した。最後の太陽が正に逃げ出そうとし翌が矢をつがえ射落とそうとした時一人の老人が叫んだ。”一つだけは残してくだされ。太陽に大地を照らして貰い我々に光と熱をくださるように“それで翌は最後の太陽を射落とすことはなかった。それで我々は一個の太陽が昇りまた沈むのを見ることができる。

 

翌は九つの太陽を射落とした後も人間に災いをもたらす毒蛇や猛獣を退治してくれた。人々はたいそう彼を尊敬し 后翌 と呼んだ。だからこの物語を 后翌射日 ともいう。

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翌射九日
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