誇父追日

誇父追日

昔昔、北方にある部落があった。ここでは年中太陽を見ることができなかった。毎日毎晩真っ暗闇でとても寒かった。この部落に誇父というとても大きく力の強い若者がいて皆にとても尊敬されていた。

 

ある日一人の老人が誇父に言った。“我々の住んでいるここは年中真っ暗で寒い。もし太陽が照らしてくれたら、明るく暖かくなるだろう。また作物や、樹木、草花も育つだろう。”これを聞いた誇父は太陽を追っかけ捕まえてここに連れてこようと決心した。決心するや否や長い足を大きく踏み出し太陽に向かって駆け出した。しかしこの時既に太陽は西に傾きかけていた。今にも沈みそうだと懸命に加速した。走る、走る、まるで風のように。あっという間に千余里を駆け太陽が正に沈もうとする所までやってきた。

 

この時沈みかけの太陽は大きな真っ赤な火の玉の様だった。四方八方に光芒を放ち目を開けていられなかった。誇父は駆け寄りながら喜んで手を伸ばし太陽をつかまえ真っ暗な自分たちの部落へ持って帰りみんなに光と熱を与えようと思った。彼は大声で叫んだ。太陽よ!私たちのところへ来ておくれ!我々は光と熱が必要なんだ!“しかし太陽は彼の声を聞き入れずなおも西へ移動していった。

 

誇父は太陽が今にも沈みそうなのを見てさらに足を速めた。足はすでに血豆ができていたが彼は構わず懸命に追いかけた。太陽に近づくほど渇きを覚えた。大量の汗をかきその上太陽は火のように熱く照りつける。さすがに誇父は渇きに耐え切れずやむなく身を伏せ黄河と渭河の水を飲み始めた。ごくん、ごくんと飲み始めるやあっという間に二つの河の水を飲み干してしまった。それでも渇きがいえず北海の水を飲もうと駆け出したがたどり着く前に渇死してしまった。

 

最後の息を引き取る前に太陽に言った。”太陽よ!どうか陽光で暗黒を吹き飛ばしてください!“ 太陽はいたく感動しこの後人類に光と熱をもたらすために大地を照らすようになった。誇父は死んでしまったが倒れこんだ彼の巨大な身体は大きな山となり、手のひらは良く茂った桃林となり無数の甘い水蜜桃を結び今に伝えて、光を追い求める人の渇きを癒している。

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