精衛填海

炎帝にとても綺麗な娘がいた。大きな目、雪のように白い顔、真っ黒な髪、笑うと両頬にえくぼができた。彼女の名は女娃といった。炎帝はとても彼女を可愛がっていた。(難産で母は死んだとされる)いつも自分の近くで遊ばせて、容易には一人で遊びに出かけさせなかった。

 

ある日炎帝は用事ができ、家には女娃一人だった。彼女はつまらなくてこっそりと家を抜け出した。外はなんて楽しいのだろう。青々とした山、綺麗な水、いたるところ花が咲き乱れ,木々は生い茂っていた。彼女は駆けながらあたりを見渡し海辺に来ているのも気づかなかった。波打ち際は一面真っ白な砂で,砂浜には沢山の珍しい形をした貝殻があった。彼女は貝殻を拾ったり、蟹や小魚を捕まえたり楽しくてしょうがなかった。

 

突然綺麗な歌声が海の方から伝わってきた。見ると海上に仙山があった。山は樹や花で覆われ小鳥が囀っていた。かの女はその山に行ってみたいと思った。運良く海岸に一艘の小舟があった。彼女は舟に飛び乗ると櫂を手に取り一生懸命仙山に向かって漕ぎ出した。しかし小舟が岸に着く前に、突然真っ黒な雲が沸き起こり狂風が吹き出した。波は一丈の高さにもなり次々と小舟に押し寄せた。舟はひっくり返されかわいそうな女娃は海のそこに引き込まれ溺れ死んでしまった。そして一羽の小鳥になった。

 

この小鳥は精衛といい女娃の生まれ変わりであるからとても美しい。綺麗な模様の頭に、真っ赤な爪、羽は光沢がありとても綺麗だ。北方の発?山という仙山にすんでいる。女娃は彼女を溺れ死にさせた無情な海をとても怨み、他の人が溺れないようにこの海を埋めてしまおうと誓った。それで彼女は毎日山の小石や木切れを銜え海へと飛んでいく。海を埋め立ててしまうために。このように毎日、毎年精衛による海の埋め立ては終わらない。彼女は長い長い年月やり続ければ大海(東海〉といえどもいつかは埋め立てられると信じているのだ。

 

このことは我々に何事をなすにも、目標を決めたらそれを達成するまでたゆまずやり続けなければならないと教えてくれる。

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