楊素の変

春になって暖かく穏やかな気候となり、丁度良い加減に晴れたり雨が降ったりしている。蘭室の蘭は既に花が終わり、今静かに休息している。蘭は休眠期からゆっくり目覚める植物で、山々や野のツツジが満開になってやっとゆっくり目を覚ましてくる。蘭が休眠期からさめた時
は水分は潤す程度とし、やりすぎると顔を出し始めた新芽をいためてしまう。だから水遣りは
できるだけ鉢の縁に沿わせて行い、施肥は普通四月末か五月初めまで待った方が良い。

十日前、植えて二年余りの楊氏素荷が開花した。花茎は低く鉢面から三、四CMで、花が開き始めて鉢に置いた飾り石に副弁が当たってきたのでやむなく石を少しどけ花弁が自由に開けるようにしてやった。普通蘭は開花し始めると花茎もゆっくり伸び始めるものだが、楊氏素荷は伸びない。十日たっても元のままだ。

素心の蘭は多くが陰を好み肥料を嫌う。我々は蘭室の割と暗いところに素心を置いてやり肥料を施す時もやらないか他の蘭の半分くらいにする。もし他の蘭と同じように施肥すると往々にして葉先をやられたり、さらに多く与えると葉が枯れてしまったりする。春蘭に限らず九華でも同様の性質がある。

楊氏素荷は1918年寧波陳万記山の雑貨店の店主が何気なく買った山採り苗の中から見つけたもので、後に寧波の楊祖仁氏が求め培養し命名したものである。楊祖仁氏が亡くなると楊家花園はだんだん寂れ楊氏素荷や他の蘭も絶滅の危機に瀕した。その後上海の陳義園の主人に全て引き取られた。その後も楊氏素荷は増えずそうこうするうち上海の日本人の手に渡り日本に持ち去られ国内の原種は絶えてしまった。

現在蘭市場に出回っている楊氏素荷は日本、台湾から戻ってきたものである。葉長20〜25CM,幅0.6〜0.8CM、新芽は濃い緑、葉色は翠緑で光沢があり、葉縁の鋸歯は細かく半垂れで先端は丸い、心葉は斜めに立ちやや尖っている。花茎は淡い緑で6CM位,苞衣は丸く整っている,小苞衣は白緑色で細かい斑点があり、外弁は長卵形、細く引き締まった根元から段々広がり弁端はピンと張っている。咲き始め三弁とも端正であるが開花後やや伸びる。やや落肩で弁中に緑色の筋が見え、浅いハマグリ捧心、花色は翠緑,白緑色の大円舌で巻き込む、中型で弁質はしっとりとし高潔な趣がある。

 その後楊氏素荷を凌ぐ素心花は数えるほどしかなく、花に気品があり、値も安いので多くの愛蘭家が好む素心花の一つである。先輩たちが言うには出戻ってきた楊氏素荷は株形、葉形とも元々のとは違いがあるそうだ。この点ずっと前のことは調べたことはないが、自分で長いこと栽培してきた楊氏素荷は開花後,舌がもともと大円舌だったのが舌端に三つの円弧が見られるようになり、開花後十日経っても舌が巻きこまなくなった。

楊氏素荷

(ある愛蘭家の話)

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