狂気の代価

一千万元の蘭がゴミの山に : 蘭の価格が高騰時の千分の一以下に
 
「経済情報番組」のシリーズ番組”狂気の代価”より
 雲南省の蘭の産出量および品種は全国第一位であり、昆明の春城蘭都は中国西南部で最大の蘭花市場である。ここには二百以上の蘭店があり、蘭の交易の最も活発な市場である。しかし記者が一歩足を踏み入れると、蘭を買いに来る人は僅かに数えるほどだった。数年前、蘭花市場が暴騰したときはここは毎日黒山の人だかりだった。
 楊さんはここの大手の蘭屋のひとつで、叔父と十数年蘭屋を経営している。現在の蘭市場の話になると彼は肩をすくめ手を上げた。蘭の値段は最も高いときに比べると今は話にならないという。聖麒麟は最も高いとき一芽数十万元だったが、今では数千元しかしない。正確に言えば以前悪くとも六、七十万元だったのが今では七千元くらいとのこと。二百万以上した大唐鳳羽が今では二,三万、八十万以上した馨海蝶が二、三百元しかしない。多くの一般的な品種は百元、ひどいものは数十元しかしない。この二年間の蘭価の暴落で店は大損し、その額は三千万元くらいだそうだ。春城蘭都の蘭花市場で損をしたの楊さんだけでなく、そのほかの蘭屋の損失も目を覆うほどひどいものだった。ある蘭屋は一鉢の蘭を指差し、この蘭は当時一芽二百万だったが去年千元で売り,今は七,八百元だ。五朶金花つまり雲南を代表する五大名花は十七、八万したが今ではよくても二,三百元だ。値下がりがひどすぎる。昆明市の蘭商劉さんは以前数十万したもの、例えば五大名花は四十数万あるいは三十万だったものが今では百元ちょっとしかしない。黄金海岸のような一番高いとき38から40万したものが今では150元だ。
 
 蘭は ”一本買うのも難しい” から今では ”ゴミの山へ” となってしまった。
以前暴騰して一芽数十万の蘭が今では100元で売られている。私は1980年代の君子蘭狂騰事件を思い出した。ごく普通の君子蘭が投機にさらされ珍しいものは値段が一万を超えひどいものは十万にまでなった。瞬く間に燎原の火のごとく全国に広がり、政府が抑制策を打ち出したら一夜のうちにその熱が冷め価格はまっさかさま、ゴミの山にはいたるところで君子蘭が見られた。今また蘭価の暴落のスピードは当時の君子蘭を凌いでしまった。では何が原因で暴落したのだろう?
 06,07年の最も高騰した時期に,”大唐鳳羽”、”星海蝶”、”黄金海岸”などの高級蘭が現れ”一本も手に入れるのが難しい”状況があった。多くの人々が大量の現金をもってしてもこれらの高級品を手に入れることはできなかった。昆明市の蘭商劉さんは、当時は相当狂気の沙汰でであったという。一本も手に入れられない、コネを使うかよく知った人の紹介がなければ一本も買えなかった。少々悪くても売れたし、蘭と名が付けば売れまたそれを高値で転売できた、少々悪かろうがまあ様になっていれば一鉢千元で売れた。
 雲南省蘭花協会副会長劉興邦はこう述べた。多くの蘭愛好家が高級品を欲しがるといわゆる資源の略奪状態となり、こうした状況の下では価格が高騰するものである。
しかし価格が暴騰するにつれ、ここ数年間で蘭の人工培養のレベルが急速に上がり稀少な高級品が大量に増殖、栽培され供給量が劇的に増えた。かって珍しく貴重であった蘭がだんだん町中どこにでもあるような普通の草花に変わってしまった。供給が増えると同時に投機の資金が撤退してしまい、このことが蘭価の暴落へつながった。また今では蘭の栽培、蘭の発展ともに科学的水準がかなり高くなり、長年の培養栽培により数量も増えまたそれに伴い価格がだんだん下がるのは自然の成り行きである。またある蘭商も、もともと一芽数十万した桃園三結義が今では数千元だが、それは数が増えたからだ、元は少なかったのだからという。

 蘭の投機は自作自演で値を吊り上げる
 暴騰暴落をとうして、蘭市場は驚きで茫然自失という上げ下げを経験し、我々は投機家の介入が蘭価のあげさげの大きな要因であることを知った。ではこれらの投機家はどうやって蘭市場を操るのだろうか。
 劉さん(前出と別人)は以前昆明のある証券会社のディーラーだったが、蘭市場が人気の頃、彼の友人の一人が彼に蘭の投機を勧めた。劉さんは詳しく検討した結果、止めることにした。その理由として彼は蘭は稀少性がない、いくらでも増える、バブルが深刻であることをあげた。劉さんは投機をあきらめたが、彼の友達は巨額の資金を投入し蘭市場に介入した。劉さんが言うには彼はすでに4000万元投資して銀行からの借入金の抵当に家財産全て押さえられている。さらにまた周辺の多くの会社の社長を巻き込み、一緒に蘭に投資させた。蘭の評価、情報交換し、ある蘭について価格がどこまで上がるか推測し、市場に値が上がるとうわさを流す。こうしてうわさの効果が現れ始めたら少しづつ売りに出る。こうした一連のやりかたがいわゆるヤラセである。
 劉さんは我々に蘭の投機における最も典型的なヤラセについて教えてくれた。まず資金の豊富な数人の資産家が数百、あるいは数千万の資金を連盟で出し合う。一人の金主が一芽3万の蘭を大量に買う。それを一芽5万でほかの金主に売る。これをまた別の金主に10万で売る。こうやっているといろんな報道機関がはからずも宣伝に一役買ってくれ一般の投資家を巻き込み、ほかの蘭も値があがる。こうして彼らが巨額の利益を上げ蘭市場から撤退した後、最高値となった蘭を買うものは現れず、それに伴い市場は崩壊するというわけだ。
 さらに劉さんが話してくれた。以前私の知る友達の一人は養蘭の大棚に投資し設備だけで400万以上とのこと。彼と交流のあった頃失礼を省みず聞いてみた。あんたはすでに5000万以上蘭につぎ込んでいるが今どのくらいの価値があるのだい?彼が言うにはどれだけ多く見積もっても400万にもならないだろう。今400万で売るといっても買う人はいないかもしれない。と言うことはすでに90%がなくなったということだ。なんとも悲惨なことだ。もう一人の蘭商が言うには最も高値のとき買ったのをすぐに売ってしまったら儲けていたのに、売り惜しみをして、あれが惜しい、これが惜しいといっているうちに皆枯れてしまった。今ではすっからかんだ。

蘭は一般家庭に帰ってきた。
 蘭投機の狂乱が過ぎた後、人々の蘭花に対する認識はだんだん理性を取り戻した。それに加え蘭の投機家が市場から撤退した後市場価格も平静を取り戻した。しかし一般の消費者または蘭の商売人にかかわらず今の蘭市場こそが正常なのだと思っている。
 蘭価の暴騰暴落の洗礼を受け、2009年の蘭価格は理性を取り戻し、蘭は投機の対象から鑑賞品となってきている。市場も熱狂から冷め理性を取り戻しつつある。
 昆明市の蘭商たちは今の価格はとても安いが、基本的に今が消費価格、消費水準である。つまり欲しければ買うことができる。以前のように馬鹿高いと欲しくてもそんな金がないが、今蘭はどんな人でも買うことができる。あんなに高いと見ることさえできないしましてどうやって買うというのだ。今誰でも楽しめる、数千元の月給の人も数百元の人でも一鉢の蘭を買えるようになった。
 蘭商にとっても投資者にとっても目の前に広がるのは大規模栽培路線である。蘭が一般家庭に入ってきて家庭での消費が拡大し健全な市場の発展が達成されるだろう。雲南省蘭花協会副会長劉興邦は 今の蘭花市場は長年の変遷を経て今まさに成熟しつつある。どのような価格が自分の栽培技術にあい、どのような価格が自分の投資に適当か、今でこそ蘭友の投資理念もしっかりしてきている。彼はさらに2006年、07年の投機熱で損失の最も大きかったのは蘭花産業と一般の蘭栽培家であろう。今蘭花市場は低迷期に入っているが蘭を正常な商品として投資して栽培すれば、リスクは非常に小さいだろう。栽培技術さえしっかりしていれば、全くリスクなどないだろう。なぜなら今の価格はとても低いから儲けるとてもよいチャンスといえる とも述べた。

                                       東方財富網

 暴落を続けていた雲南蘭の価格はその後どうなったのだろうか。昨年末あるニュースを目に

したので紹介します。

 この記事を読んで今にして思えば私が昆明に行った数年前以前はちょうど蘭価格の暴騰期だったのだ。
 ちょっとした蘭でも馬鹿高く、名品などお眼にも掛かれなかったものだ。かえってそれがよかったのかもしれない。
 今となって雲南蘭を手にいえる好機がやってきたのかもしれない。しかし日本での寒蘭のように豊雪など誰でも買えるようになった今、裾野が広がると逆に殆どの愛蘭家が興味を失うのもまた事実だろう。
 何度も同じことを繰り返しつまり暴騰暴落を繰り返しあるいは世代が交代し、趣味としての蘭がより素晴らしいものになるのか、あるいはどんどん品位を落としつまらないものになるのかどちらだろう。多分後者のような気がするが。。。

最近の蘭
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送