武林第一梅 奎字

梅弁“武林第一梅” すなわち奎字(けいじ)。
 Feng(にすいに馬)長生選出。三弁丸く整い、緊辺、観音兜捧心、円舌。緑で花茎長い。当初茶鋪の阿元が愛培し、後に陳企蘭の手に渡る。毛栄昌氏がバックバルブ一個を手に入れ民国六年に二十数本となった。毛氏は日がたつとともにこの蘭のことを忘れてしまった。 王長有氏がこれを安く手に入れ、いろんな愛蘭家に売った。毛氏はこのことをいまだに知らない。写真なし。
(バックバルブ一個かバック一本か良く分からない)

蘭花譜新版,
四明蘭花網より

中国第一蘭花網より

蘭寶ャ史

その他 奎字 として紹介されたもの

《蘭花譜》新版-武林第一梅 武林第一梅 (奎字) (第62頁)
大正六年(1917年)Feng長生氏が発見した新種。
葉姿:中細の垂葉性,長さ八九寸,姿勢清秀。
花容:三瓣円而やや長,緊辺,観音額開有軟兜捧心,円舌,舌上紅点鮮明,緑茎細杆の名花(花広一寸五分位)。
現在情况:去年(昭和十一年1936年)日本に伝わる,今年三月山口氏の培養のもと初めて開花,東京銀座三越で挙行された春蘭鑑賞会に出展,初花のためか気力に欠ける,気候、栽培法に慣れればその真容を発揮するだろう。

 蘭寶ャ史補遺   牟安祥

《蘭寶ャ史》にある“武林第一梅”についてのその他の記載は後に取り上げるとして,まずこの蘭についての記載を見ると、“三弁円整,緊辺,観音兜捧心,円舌,色緑干高。”とある。《蘭寶ャ史》に残されているのはたったこれだけである。

 《佚名蘭寳}譜》に記載された“奎字”は、杭州の王義記花園にて選出。三弁広大,平辺,色暗緑,捧舌亦佳。といたって簡単な説明である。

 以前の蘭譜にある“武林第一梅”の記載はほとんどが《蘭華譜》からの引用で“武林第一梅(奎字)は民国六年にFeng長生が発見した新種である。葉姿中細,垂葉性,葉長八、九寸。整姿良好。花容 三弁円く、やや長い,緊辺,観音額形,軟兜捧心,円舌舌上の紅点鮮明。花径一寸五分位。緑茎細梗。” とある。

王叔平《五十年芸蘭経験談》では“奎字”を水仙弁にいれ、原産地と発見者は杭州の王義記花園。捧舌端正。辺広肩下とある。

《乃安居芸蘭筆譚》も“奎字 武林第一梅”を水仙弁に入れている。“1917年Feng長生発見,杭州王義記花園栽培。葉形中細而垂。萼片円而微長,観音兜形軟捧弁,大円舌,紅点鮮明,梗緑而細,ただ広辺落肩なり。”とある。

《紹興蘭文化》の“奎字”についての記載は《蘭寶ャ史》とほぼ同じであるから省略する。

渚友仁、姚毓謬の著書《蘭花》では“奎字”の花についての紹介はないが水仙弁としている。ただその葉性についての記載が他と異なるのは“新芽が土を切ったのは6.10で,新芽淡紫,葉直立,光沢なく、葉幅0.8cm,葉長13.2cm,葉先は鈍く,葉脈は浅い,葉質は薄く袴は短い。”とあり、異なる点のその一は“葉直立”でその二は葉の長さである。もし葉の長さについて各種蘭著に誤りがあったとしても、この“葉直立”は説明が付かない。これは“奎字”と音の近い“魁字”を取り上げなければならないだろう。中国語ではこの魁、奎二字は往々にして合い通じる。沈渊如父子の《蘭花》に“魁字”があり、“弁型 梅瓣 歴史不詳。また華氏梅ともいう。特徴 三弁円結、收根,緊辺,分巣,蚕蛾捧,如意舌。花茎短,苞衣淡紫色,葉直立性,葉先鈍。”としている。捧、舌、花茎の長さ、葉直立性などから見ると、“武林第一梅”的“奎字”とは明らかに違う。渚友仁、姚毓謬の著書《蘭花》に記載してある“奎字”はもしかするとこの“魁字”のことかもしれない。

《中国蘭芸三百問》に記載された“魁字”はまた“華子梅”とも呼ばれるが、 氏と子は読み音が似ていたのかもしれない。文中に:“産地、選出時期不詳。紹興の葉志慶氏がこれを有していた。赤紅花苞,外三弁短 円,花色翠緑,残念ながら花梗が極めて短い。もし花芽が付いたとき紙筒でキャップしてやると花梗を伸ばしてやれるかもしれない。”とある。名称と花梗の記載から見ると与沈渊如父子の《蘭花》の記載と同じであるが葉姿が異なり;花についての記載が簡単すぎて比べようがない。

《蘭尓鑑》によると:“魁字,またの名を華氏梅。産地及び選育年代不詳とあり、沈渊如の《蘭花》にこの花を初めて収録した当時、言い伝えでは華氏という愛欄家が選出したとしている。葉長25--30cm,0.7--0.9cm,葉色深緑,葉姿半垂れ。花茎比較的短い,苞片淡紫色,外三弁頭円,收根細。主弁は上盖状を呈し副弁は一字肩,蚕蛾捧,(沈渊 如氏が言うには如意舌)は写真から見るに劉海舌であろう。”とある。花の記載から見て,“葉姿半垂”という点が沈渊如父子の《蘭花》の記載と違うこと以外おおむね同じである。しかし残されたカラー写真は同時にまた《蘭寶ャ史新版》の中の“武林第一梅”に用いている。これは《蘭尓鑑》のなかで“沈渊如《蘭花》に初めてこの品種を収録”という部分と矛盾を生じる。沈渊如“が初めて収録”したとしても,《蘭寶ャ史》に出てくるわけがない。

姚毓平、徐碧玉の著書《蘭花》という本に,“魁字”が収録されている。“葉姿直立性,葉端鈍尖,葉質厚実,葉形広大,葉色深緑。苞衣赤紅色。花外三弁長脚円頭.緊辺,蚕蛾捧心,如意舌(?)。花色翠緑,花梗極めて短。”とありカラー写真が一枚残されている。

私は倦むことなく各蘭書の“奎字”と“魁字”についての記述を集めたがやはりどうしようもなかった。

“奎字”と“魁字は混乱しすぎている。“奎字”と“魁字”は同一種なのか?それとも別種なのか?個人的には別種であると思う。

第一に“武林第一梅”又称“奎字” 1,葉細而垂; 2,観音捧; 3,円舌; 4,微落肩,花茎高而細; 5,Feng長生選出。

第二,“魁字”又称“華氏梅”或“華子梅” 1,葉中細,直立性; 2,蚕蛾捧; 3,劉海舌; 4,肩平,花茎短;     5,産地選出時期不詳。

ということで渚友仁、姚毓謬の著書《蘭花》の“奎字”は“魁字”である可能性が極めて高い、もしくは“奎字”の小苗は品種の特性を出し切っていないのでは。しかしこういった区分はあくまでもわたしの個人的な見解である。この点ははっきり言っておく。蘭友のみなさんは気楽に聞いてくれればよい。くれぐれも真に受けないように。本音をに言えば私だって同じ品種であって欲しいと思う。

しかし混乱している現実から逃げることはできない。別種だとするのが正しいかどうかはまた別のことだ。

 云々云々とあるが魁字についてはまた別の項で
 
 蘭寶ャ史の説明は極めて少なく写真もない。しかし花茎が長いという点は魁字と違う。魁字は惜しいことに地際で咲くとある。(魁字の項参照)また《蘭花譜》新版の奎字は確かに垂れ葉であるが最近紹介されたものはどちらかといえば半立ち葉に見え、魁字の葉性に似ているようだ。
 
 奎字と魁字はどちらも同じ発音である(kui zi)ため牟氏もいろいろ悩んでいるようだ。

春蘭譜の魁字

魁字として紹介されたもの

最近の蘭
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